採用の悩み

入っても、すぐ辞めてしまう

「聞いていた話と違った」というずれは、入社前に伝える情報で減らせます。

執筆エンリク編集部更新日2026/10/14

なぜ起きるのか

入社して1か月ほどで辞めた人の話を聞くと、「聞いていた話と違った」という言葉がよく出てきます。残業が多い、教えてもらえる期間が短い、思っていたより早く一人で任される。どれも、入る前に知っていれば、入らない選択も、覚悟して入る選択もできたことです。

採用の場では、どうしても良いところを伝えたくなります。忙しい時期のことや人が足りていないことは、面接で聞かれなければ話さないままになりがちです。ただ、伏せたことは入社後に必ず表に出ます。一度にまとめて表に出たずれは、そのまま辞める理由になります。

まず確かめたいこと

  1. 書きにくいことも、先に伝える

    繁忙期の残業、夜勤やオンコールの負担、人の入れ替わり。大変なことも先に書いておくと、それを知ったうえで来た人は辞めにくくなります。「大変です」で終わらせず、「だから、こうしています」と職場の工夫を添えるのがコツです。

  2. 最初の1か月の過ごし方を見せる

    誰について、何を、いつから一人でやるのか。初日、1週目、1か月目の予定があるだけで、入社前の不安はぐっと減ります。昨年入った人が実際にたどった流れを書くと、さらに伝わります。

  3. 入社前の質問に、同じ答えを返す

    よく聞かれる質問と答えをまとめておくと、担当者によって説明が変わるのを防げます。「面接では残業はほぼないと言われた」というずれは、多くがこうして起きます。

  4. 入社1か月後に、ずれを聞く

    新しく入った人に「入る前の印象と違ったこと」を聞き、求人票や採用ページの直しに使います。次の採用で、同じずれを繰り返さずに済みます。

業界ごとのポイント

医療・介護
記録にかかる時間と、残業代のつけ方。プリセプター(教える担当)が誰で、いつまでつくのか。
建設・職人
夏と冬の現場のつらさ、朝の集合時間、現場までの移動時間が給料に含まれるか。
製造・物流
立ちっぱなしの時間、夜勤明けの過ごし方、繁忙期にどのくらい残るか。

書き直しの例

教育体制の書き方

例

いまの書き方

教育体制が充実しています。

書き直した例

最初の2週間は先輩と一緒に訪問し、3週目から短い訪問を一人で担当します。困ったことは、その日のうちに管理者と振り返ります。

繁忙期の書き方

例

いまの書き方

残業は少なめです。

書き直した例

残業は月10時間ほどですが、12月と3月は月25時間ほどになります。その時期は、休みの希望を早めに聞いて調整しています。

例の数字は説明のためのものです。実際の数字に置き換えてください。

いまの求人票でチェック

  • 忙しい時期と、そのときの残業の目安を書いている
  • 最初の1か月の予定(誰に、何を、いつから)を伝えている
  • よく聞かれる質問の答えを、職員の間でそろえている
  • 面接で、大変なことも自分から話している
  • 入社1か月後に、入る前とのずれを聞いている

チェックが付かなかった項目から、上から順に書き足してみてください。業界別のチェックシートは、コラムのトップから受け取れます。

よくある質問

悪いことを書くと、応募が減りませんか?

減ることはあります。ただ、合わない人が入って早く辞めるより、納得した人が入るほうが、職場の負担は小さくなります。

辞める理由を、本人がはっきり言いません。

辞めるときには本音を言いにくいものです。入社1か月後と3か月後に短く話を聞く時間をとるほうが、ずれに早く気づけます。

教える人の負担が大きいです。

教える内容を紙やFAQにまとめると、毎回同じことを説明する手間が減ります。教える担当にも、その分の時間を仕事として確保します。

給与を上げれば、辞めなくなりますか?

給与で解決することもありますが、「聞いていた話と違った」が理由の場合、給与を上げても続かないことがあります。まずは、ずれがどこにあるかを確かめます。

すでに辞めた人に、理由を聞いてもいいですか?

無理に聞く必要はありませんが、関係が良ければ、短いアンケートをお願いする方法もあります。答えやすいよう、選択肢を用意しておきます。

まとめ

すぐに辞めてしまう問題は、入社後ではなく、入社前に打てる手が多くあります。大変なことも先に伝え、最初の1か月を見せ、答えをそろえる。そして入った人の声で、次の求人を直していく。この繰り返しが、辞めない採用につながります。

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